含鉄泉
泉質に関する読み物 — 成分・泉質名・分析表の読み方
含鉄泉 (Iron-containing Spring)
含鉄泉は、温泉水1kg中に鉄イオン(Fe²⁺またはFe³⁺)が20mg以上含まれるものです。湧出直後は無色ですが、空気に触れて鉄分が酸化するため、茶褐色(赤みがかった茶色)に変わる特徴があります。有馬温泉(兵庫県)などが代表的です。鉄分の含有により、入浴で血液量が増えたように温かく感じたり、飲用で貧血改善効果が期待されることがあります。
専門的解説
泉質名(和/英):含鉄泉 (Ferruginous Spring)。
主要成分・化学式:鉄(II)イオン (Fe²⁺) と鉄(III)イオン (Fe³⁺) を含みます。化学式例としては硫酸鉄(II)(FeSO₄)や炭酸鉄(II)(FeCO₃)などが挙げられます。これらが水中でイオンとして存在します。
濃度基準:総鉄イオン(Fe²⁺+Fe³⁺)が20mg以上。これに満たない場合は泉質名が付きません。
典型的効能:鉄分は血液の造血成分(ヘモグロビン)の材料になるため、飲用による鉄欠乏性貧血の改善が期待されます。浴用ではぬるめの湯でも体が温まる感覚があるほか、微量鉄イオンの皮膚吸収や血行促進効果で冷え性緩和に寄与すると言われます。
禁忌症:体内鉄過剰症(ヘモクロマトーシスなど)の人は注意します。鉄泉は低pH(酸性)になりやすく、敏感肌や粘膜過敏の人は長湯に注意が必要です。
作用機序:入浴時、Fe²⁺は皮膚表面で酸化されてFe³⁺となり微細な酸化鉄粒子(いわゆる「湯の花」)が析出します。これが「赤湯」と呼ばれる見た目のもとです。詳しくは湯の花と析出物をご覧ください。体内作用としては、飲泉で鉄イオンが消化管から吸収され、血液中に取り込まれて赤血球生成を促します。浴用では、鉄成分自体よりも温熱・浮力効果による血行促進が主体ですが、皮膚を通じた微量の鉄補給も補助的に起きるとされます。
測定・分析方法:総鉄はジピリジル法やチオシアン酸法(鉄(II)Fe²⁺)、また過マンガン酸滴定法(Fe²⁺とFe³⁺総量)などで分析します。pHを酸性に保ち硫酸などを加えた上で分析し、Fe²⁺とFe³⁺の両方を合算します。
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