温泉入浴と腸活——腸内細菌叢の最新研究
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温泉入浴と腸活——腸内細菌叢の最新研究
サウナ・温活ブームで「温活」が話題になるなか、温泉に入ると 腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう) にも変化が起きる——そんな研究が別府を中心に進んでいます。入浴した泉質によって、増える菌の種類が違っていたのです。温泉の違いが、体内の小さな生態系にも関係しているのかもしれません。
別府・九州大学の研究(136人・5泉質)
九州大学と別府市が共同で実施した研究(Scientific Reports, 2024年)は、健康な成人136人に別府温泉の5泉質(単純温泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫黄泉、硫酸塩泉)のいずれかへ、7日間連続・1日20分以上入浴してもらい、入浴前後の便を解析しました。
参加者136人のうち9人が入浴日数不足などで除外され、127人 が有効データの対象となりました。硫酸塩泉はこの127人のうち 3人 だけだったため、泉質ごとの菌の変化を比較する解析から 除外 されています。有意差を検定したのは、単純・塩化物・炭酸水素塩・硫黄の 4泉質 です。
主な結果(便中で 有意に増加 が確認された菌)は次のとおりです。
| 泉質 | 腸内細菌の変化(論文の結果) |
|---|---|
| 単純温泉 | Parabacteroides、Oscillibacter |
| 塩化物泉 | 泉質別解析では有意な変化は確認されず |
| 炭酸水素塩泉 | Bifidobacterium bifidum、Oscillibacter、Ruminococcus(B. bifidum の増加が特に大きい) |
| 硫黄泉 | Ruminococcus 2、Alistipes |
| 硫酸塩泉 | 参加者が少なく、泉質別の有意差検定の対象外 |
泉質グループごとに、入浴前後で増えた菌の種類が異なっていたことが示されました。
明礬温泉の追試——短鎖脂肪酸が増える
別府の明礬温泉(硫黄を多く含む温泉)を対象にしたパイロット研究(Environmental Health and Preventive Medicine, 2025年)では、健康な成人男性16人が2週間で4回(1回15分以上)入浴し、入浴前後の便を調べました。
- Bifidobacterium、Blautia、Anaerostipes などの菌群が増加
- 便中の酢酸・プロピオン酸・酪酸などの 短鎖脂肪酸(SCFA) が増加
短鎖脂肪酸は腸のバリア機能や免疫調整に関わる代謝産物です。胃腸の不調に良い泉質(飲用)で紹介する飲泉とは別の経路で、入浴と便中の変化が報告された研究です。
「腸活×温泉」——湯めぐりの楽しみ方
研究段階ではありますが、湯めぐりのヒントとして次のような考え方があります。
わかっていること・わかっていないこと
わかってきたこと
- 健康な人でも、1週間の温泉入浴で便中の細菌構成に変化が観察された(別府・4泉質の比較)
- 泉質グループによって、増えた菌の種類が異なっていた
- 明礬温泉の小規模研究では、便中の短鎖脂肪酸の増加も報告された
まだわかっていないこと
- 変化がどれくらい持続するか
- 疾患を持つ人への効果
- 飲泉との併用効果
- 加水・加温で泉質が変わった場合の影響
- 入浴が腸内細菌を変える主な経路
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